悪魔の囁きは溺愛の始まり

一瞬で崩れる

手を繋がれた状態でエレベーターを待つ蒼大さんに声を掛ける。


「蒼大さん、手を。」

「別に誰もいない。」

「噂になる。」

「別に構わない。親父も相手は一花だと分かってる筈だし、さっき紹介もした。」


強引な蒼大さんに諦めた。


「明日でいいか?」

「ん?」

「一花の親に挨拶に行く。」

「………わかった。」


蒼大さんの視線に気づいて、蒼大さんの顔を見上げた。

眉間に皺を寄せる蒼大さんに首を傾げた。


「蒼大さん、何?」

「今の間は何?嫌なの?」

「嫌っていうか………ほら、初めてだから。」


親に彼氏を紹介するのは初めてだ。

いつも恋愛相手には煩いが、一度も『会ってみたい』とは言われた事はない。

だから自然と紹介する機会もなかった。


「だから戸惑ってる。」


正直に気持ちを話せば、蒼大さんの手が離れて抱き締められた。

突然の出来事に体が固まる。
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