悪魔の囁きは溺愛の始まり
ちょっと高級そうなお店に車を停めた。

蒼大さんが手を繋いで店内に入っていく。

きっと仲の良さそうなカップルに見えたかもしれない。


「岡崎様、いらっしゃいませ。」


予約済みらしい。

女将が案内してくれる後ろを、手を繋いだまま歩いていく。

微笑む女将は私達が喧嘩しているようには見えてないらしい。

個室に案内された私達はテーブルを挟んで向き合うように座るつもりだったが―――


「岡崎部長、手を離して貰えませんか?」

「岡崎部長?」

「はい、私には岡崎部長ですから。他の女性のように名前では呼びません。」

「チッ、一花。」

「ふふっ、ふふっ、仲のお宜しいことですね。」


場違いな笑いが個室に響いた。

全然、仲なんて良くない。

逆に、喧嘩してるのが伝わってないの?


「岡崎様、ヤキモチを妬かれるような事でも?女性の影なんてなかった岡崎様も、遊ばれるようになられたんですか?」


クスクスと笑いながら蒼大さんを見ている女将が私へと視線を向けた。
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