悪魔の囁きは溺愛の始まり
二人にも女将が言うようにヤキモチだと言われる。

ヤキモチ?

蒼大さんが好きって事?


「それにしても、花が男の愚痴を溢すなんて。」

「一番恋愛に疎かった筈なのに。まさかの結婚一番乗り?」

「あり得る。親に挨拶とか済ませたりして。」

「あっ、うん、蒼大さんのお父様には。実は『週末に挨拶したい』って言われてたんだけど……紹介したくなくて。」

「逃げたんだ。」


波羽に見抜かれてる。琴音もニヤニヤしてるって事は見抜かれてる。


「まあ、楽しいから付き合うけどね。」

「そうそう、彼氏とも予定なかったし。」


二人のお陰で気晴らしが出来た。

二人お陰で自分の気持ちにも気づけた。


『嫉妬』


嫌悪感が溢れたのは………私以外を抱く蒼大さんを想像したから。

嫌悪感が溢れたのは………蒼大さんを私と同じように名前で呼んでいたから。

嫌悪感が溢れたのは………目の前に現れた女性にも、私と同じように甘い言葉を囁いたと思ったから。

嫌悪感が溢れたのは………蒼大さんの過去も独占したい気持ちがあったから。

私は蒼大さんを好きなんだ……


「花、逃げたい時は付き合うよ。」

「私も。」


二人の優しさに、私の心は徐々に落ち着いていた。
< 147 / 200 >

この作品をシェア

pagetop