悪魔の囁きは溺愛の始まり
今週もマリン本社で会議がある。

それを考えると憂鬱になってしまう。

もう一度、あの女性に会ってしまったら。もしかして別の女性が現れるかもしれない。


「ふぅ~。」

「青山、纏まらないか?」

「えっ?あっ、大丈夫です。」


大きな溜め息を漏らしていたらしく、渡部さんに突っ込まれてしまった。

大きく伸びをして、頭の中を切り替える。


「明後日の会議には出せそうか?」

「はい。」

「何かあれば相談しろ。」

「はい。」


今は仕事に集中しなくては………。


「青山さん、社長が呼んでます。」

「あっ、はい。」


気合いを入れて頑張ろうとした矢先、社長に呼ばれてしまった。

席を立ち上がり、渡部さんに声を掛けた。


「社長室に行ってきます。」

「わかった。」


オフィスを出て、上の階にある社長室を目指して歩いていく。

今朝、父は特に何も言っていなかった。


「何の用だろ?」


首を捻り、何で呼ばれたのかを考えた。
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