悪魔の囁きは溺愛の始まり
疲れた私を癒してくれるのは温もりだ。


「一花。」


甘い囁きが耳元で聞こえる。

仕事帰りに私の部屋に寄る蒼大さんが私を抱き締めているのだ。

その温もりが私の心も癒してくれる。


「やっぱり一花の温もりは癒される。」


蒼大さんの言葉に笑みが浮かんでくる。

私だけじゃなく、蒼大さんも同じ気持ちになっている事が嬉しいのだ。


「一花は?」

「………私も癒されるよ。」


目を閉じて蒼大さんの温もりを感じていれば、自然と口から言葉が出ていた。


「どうした?珍しく素直だな。」

「疲れてるからかな。」

「忙しいのはもう少しか?」

「うん。蒼大さんはこれからが忙しい?」

「だな。大詰めに入るからな。」


蒼大さんが抱き締めていた腕を弛めた。

閉じていた目を開けて、近くにある蒼大さんの顔を見上げた。


「年末のハワイは大丈夫か?」


念を押す蒼大さんに頷けば、満足そうに微笑んだ顔を見せた。
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