悪魔の囁きは溺愛の始まり

休暇

隣を歩く蒼大さんを見上げる。

いつもとは違う雰囲気が以前の私達を甦らせる。


「一花、何だよ。」

「いつもと雰囲気が違わない？」

「そのまま返す。一花も違う。」

「休みはこんな感じだよ？」

「俺も。」


会社帰りや会議で会う事の多い私達はいつもと雰囲気が違うらしい。

蒼大さんと向かったのは高級ホテルだ。


「ここに泊まるから。」

「わかった。」

「ダブルだから。」

「わかった。」

「驚かないのか？」

「想像はつくから。」


そんな会話をしながらホテルの部屋へ入っていった。部屋から見える海の景色にベランダへと飛び出した。


「綺麗。」


思わず感嘆の声が漏れた。

直後、蒼大さんに抱き締められた。


「ゆっくり過ごしたい。」

「うん。」

「荷物を片付けたら何か食べに行かないか？お腹が空いた。」

「うん、そうだね。」


名残惜しいが、いつでも見れる景色に背を向けて部屋の中に入った。