悪魔の囁きは溺愛の始まり
歓声と花火の音が静かな私達を包んでいた。

ぎゅっと握られる手に隣の蒼大を見上げた。

剰りにも真剣な表情に固まる。


「蒼大?」


周りの歓声と花火の音に、掻き消されそうな程小さな声が漏れた。

じっと私を見つめる蒼大に身動きも言葉も出てこない。


「一花、今日からは恋人ではなく、婚約者として一緒に過ごしてくれないか?」

「えっ?」

「一歩前に進んで欲しい。」

「………。」


固まる私を抱き寄せて耳元で甘く囁いた。


「一花、結婚しよう。」


突然の言葉、そして渡されたダイヤの指輪に蒼大と指輪を交互に見た。

頭がついていかない。


「一花、返事は?」

「あっ、うん、はい。」

「ははっ、何だよ、それ。」


嬉しそうに笑う蒼大に、やっと頭の中が回転を始めた。


「はい、宜しくお願いします。」


今度こそ、しっかりと返事をした。

嵌められる指輪をじっと見つめていれば、再び甘い囁きが耳元に落ちてきた。


「一花、結婚しよう。」
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