悪魔の囁きは溺愛の始まり
「俺は春馬。」

「俺は悠祐。」


お互いに挨拶をしていく。チャラそうだが、3人ともが黒髪だ。

私達より少し年上か?


「おいくつですか?」


思いきって聞いてみた。すると目の前に座る蒼大さんが笑みを浮かべてきた。


「おっ、興味が沸いた?俺らは24だけど、花ちゃんは?」

「私達は22。大学の卒業旅行で。」

「卒業旅行なんだ。俺らは疲れた体を休めに現実逃避中。」

「社会人?」

「そう。いつまでいるの?」


波羽と琴音に視線を向ける。なんて答えるべきか分からなかったからだ。

察したのか波羽が口を開いた。


「今日から一週間。」

「ふ~ん。俺らも今日から一週間。奇遇だね。」


本当なのかどうか……笑みを浮かべる蒼大さんを見つめる。

だが、上っ面の下に隠された本心は見抜けなかった。


「とりあえずは海を楽しもうか!」


悠祐さんの言葉に同意だ。彼らが嘘をついていようがいまいが、今はバカンスを楽しみたい。

そう決めた私は立ち上がり大きく伸びをする。
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