悪魔の囁きは溺愛の始まり
「花ちゃん、セクシー。」


茶化す蒼大さんをチラリと見下ろす。やっぱり張り付けたような笑みを浮かべている。

蒼大さんの視線から外す。


「海に入ってくる。」

「なら、俺も行く。」


目の前に座る蒼大さんが立ち上がる。思った以上に背が高い。

波羽も琴音も立ち上がれば、悠祐さんも春馬さんも立ち上がる。

結局、皆で立ち上がっている。


「荷物番は?」

「じゃんけんするぞ。」


男達がじゃんけんをしている。

負けたのは―――


「春馬、悪いな。ごめんね、音ちゃん。」


男女ペアーが決まっているようだ。春馬さんと琴音が再び腰を下ろした。

話始める二人に、私達は背を向けて海へ向かった。

波羽と悠祐さんも気が合っているのか、話が弾んでいるようだ。


「俺らも話そうぜ。」


馴れ馴れしく手を繋がれた。その行動に蒼大さんを見上げる。


「手ぐらいいいだろ。」


その一言を返せなかった。別に嫌ではなかったからだ。

手を繋がれ、海へと入っていく。
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