悪魔の囁きは溺愛の始まり
膝丈辺りで蒼大さんの足が止まった。私も同じように足を止めた。

振り返る蒼大さんを見上げる。


「花ちゃん、彼氏いる?」


唐突な質問に固まる。それでも蒼大さんはもう一度同じ質問を繰り返してきた。


「花ちゃんは彼氏いる?」

「………いない。」

「ふ~ん、なら立候補していい?」

「えっ?」

「俺、本当に花ちゃんがドストライクなんだ。狙ってもいい?」


『マジなのか?』

固まる私に、目の前に立つ蒼大さんから笑みが消えていく。

じっと蒼大さんを見つめる。


「俺、初めて経験した。『一目惚れ』ってヤツを。」

「一目惚れ?」

「そっ、ドストライクだと『一目惚れ』するんだな。」


蒼大さんの言葉に向けていた視線を外す。


「花ちゃん、俺ってどう?許容範囲内?」

「えっ、まあ、うん。」


動揺が隠せない。こんなイケメンに迫られれば、誰でも動揺する筈だ。

鼓動がバクバクと速まるのが分かる。


「なら俺はアタックするから。この手も離さないから。」


甘い言葉にノックアウトされそうだ。
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