悪魔の囁きは溺愛の始まり
大きなビルが目に入る。隣の渡部さんは気にせず進んでいく。

私も渡部さんの後に続いてビルの中へと進んでいく。

真っ直ぐに受付に向かう渡部さんの後を追う。


「青山インテリアの渡部です。14時から会議の予定が入っていると思いますが。」

「はい、確認致しました。こちらをどうぞ。会議室は二階の205になります。」

「ありがとうございます。」


渡部さんが来客用の名札を受け取り、私にも渡してくれた。

渡部さんは何度も来ているのだろう。馴れた感じで対応している。

私は初めて来たマリンコーポレーションに少し鼓動が速まっていた。

うちの会社より桁違いに大きい。渡された名札を首からぶら下げた。


「青山、行くぞ。これからは度々来る事になるから俺の行動を見ておけ。」

「はい。」


渡部さんに大きく頷いた。

エレベーターに向かう渡部さんに付いていく。キョロキョロと視線を動かしていたのがバレたようだ。


「青山、落ち着け。」


この一言に少し恥ずかしくなってしまった。
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