悪魔の囁きは溺愛の始まり
蒼大さんが私の頭を優しく撫でる手に顔を上げた。

私を見つめる蒼大さんの表情が優しい。

また涙が溢れそうだ。


「後悔してくれてたんだな。」

「ごめんなさい。」

「わかった。でも彼女の件は続けてもらうから。俺はずっと一花を忘れてない。」

「…………。」

「一花を俺のモノにしたい。だから本気で俺を好きになるようにアタックする。」


蒼大さんの素直な気持ちに、今の私の気持ちも伝えたいと思った。

頬の涙を手で拭い、蒼大さんに笑みを向けた。


「私も蒼大さんが忘れられなかった。確かに会議室で再開した時、すぐには気付けなかった。」

「俺は気付いたけど。」

「ハワイの蒼大さんとは雰囲気も見た目も違ってたから。」

「あんなチャラい部長は嫌だろ。部長なりの身だしなみだ。」

「チャラいって自分で分かってたんだね。蒼大さんの優しさに救われた。絶対に謝る機会なんて訪れないと思ってたから。」

「一花の心を掴む策略だ。」

「それでも機会をくれてありがとう。」


蒼大さんに心から笑みを見せる事ができた。その後は運ばれてきた料理を二人で堪能した。
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