悪魔の囁きは溺愛の始まり
リビングには両親が寛いでいた。


「ごめん、明日も夜ご飯はいらないから。」

「明日も?」

「外で食べるから。」

「急にどうしたの?彼氏でも出来たの?」


母の言葉に父の視線も向けられるが、私はドアへと背を向けた。


「一花、相手は誰だ?社内か?」

「ううん、違う。」

「なら口は挟まない。」


父の言葉にリビングを出ていき、自分の部屋のベッドにダイブした。

父の言葉――――


『社内の男は一花の家柄が目当てかもしれないからな。』

『一花自身を見てくれるとは限らない。』

『幸せになれる相手を選べよ。』


父なりの想いだろう。

だけど重荷にも感じている。私の恋愛は自由じゃないのかって感じてしまう。

兄はお見合いだ。

それでも不満など口にはしない。兄は会社を背負っている立場だからだろうか。

覚悟の違いなの?


「彼氏か………。」


実感が沸いてない。

出逢って数日なのに彼氏だと言われても。

また明日も夜ご飯を食べるのか。

嫌ではない。寧ろ、楽しんでる自分がいる。

目を閉じていれば、知らない間に眠りへと落ちていた。
< 66 / 200 >

この作品をシェア

pagetop