お見合い結婚時々妄想
祥子の妄想癖が、父親の死がきっかけって?
修司さんはビールのおかわりを店員に頼んだ
「兄貴、何言ってんの?」
昇司くんもびっくりしている
「いや、違うか。俺のせいかもな」
そう言って、修司さんは僕を見た
「慎さん。長くなるけど聞いてくれる?」
僕は頷いて、修司さんの話に耳を傾けた
祥子達の父親が亡くなったのは、修司さんが小学6年、祥子が小学3年、昇司くんが小学校にあがる前のこと
亡くなる半年前からずっと入院していたらしい
祥子はお父さん子で、学校からの帰り道、毎日病院に行って父親と会って家に帰っていた
父親も一人娘の祥子をとても可愛がっていたそうだ
「だからかな?ちょっと祥子がうらやましかったんだ。当時の俺は」
修司さんは自嘲気味に笑いながら言った
そして父親が亡くなり、葬式もすんで、落ち着いてきたある日、修司さんは窓の外を見上げている祥子を見つけた
『祥子、どうしたんだ?窓の外なんか見上げて』
『ねえ、お兄ちゃん。お父さん、お空のどこかにいるのかな?』
まだ小学3年生の祥子には、父親の死というものが、あまり理解出来ていなかったのだろう
「その時、俺は言ったんだ『そうだな。ずっと話しかけてたら、お父さんが応えてくれるかもしれないな』って。そしたら、あいつ……」
『本当!?お兄ちゃん。じゃ私、ずっとお空と話してる!』
それからというもの、祥子はいつも空を見上げて話しかけていたそうだ
「俺はその時、コイツ馬鹿じゃないか?父さんはもう死んでいないのに、応えてくれるわけないじゃないかって、ずっと思ってた。でも、祥子はずっと話しかけてた。その内、気付いたのか、話しかけるのはやめたけど、ぼーっと空を見上げてるだけになった。そして、1人で笑ったり、怒ったりするようになったんだ……」
「それから、いつでも妄想するようになったと?」
修司さんは頷いて、ため息をついた
「だから、祥子が妄想してるの見る度に、責められてる気がしてた。『お兄ちゃんの嘘つき!』って言われてるみたいだったんだ」
「兄貴……」
修司さんだって当時6年生だ
父親の死を簡単に受け入れることなんて出来なかったはずだ
「修司さん、祥子のトリップ癖のきっかけは、その事かもしれないけど、でも」
修司さんと昇司くんが、僕を見る
「でも今の祥子は、楽しそうだよ。トリップしてる時。だから、そんなに気に病むことはないと思うよ」
「慎さん……」
僕は修司さんに笑いかけた
「そりゃ、勝手に不機嫌になったり、たまに暴走して、何のことだかさっぱり分からない時もあるけどね」
昇司くんが、ぷっと吹き出した
「それに、そんな祥子を見るのも僕の楽しみなんだ」
「慎さんの楽しみ?」
「そう。一体祥子は何を考えてるんだろうって。想像するのが僕の楽しみになってるから」
僕がそう言うと、昇司くんは大きな声で笑った
修司さんもそれにつられるように笑った
「姉貴の旦那は、慎兄にしか出来ないな。他の男じゃ無理だわ」
「そう?僕にとって最高の誉め言葉だよ。ありがとう、昇司くん」
更に昇司くんは笑った
「慎さん、祥子のこと……」
「修司さん、分かってます。妹さんは、一生大事にしますから」
修司さんは、僕に頭を下げた
それから3人でいろんな事を話した
祥子の子供の頃のことだとか、お義母さんと大喧嘩したことだとか、僕の知らない祥子の事がたくさん聞けて、凄く楽しかった
そうして、また3人で飲もうと約束して、それぞれ帰って行った
「ただいま」
家に帰り着いたのは、23時を回った頃だった
祥子はもう寝室で休んでいた
僕が風呂に入って、ベッドに入ったのは、0時近くになっていた
「……慎一郎さん?」
僕がベッドに入った時に起こしてしまったんだろう
「ごめん祥子。起こしちゃった?」
「ううん。半分起きてたから」
そう言って、僕に手を伸ばしてきたので、祥子を抱きしめた
「修ちゃんと昇くんと、何話して来たの?」
「いろいろ。祥子の子供の頃のこととか?」
「ええ?どんなこと?」
「教えない。男同士の秘密だから」
口をとがらせて見上げていたので、その唇にキスをした
「もう、お休み。祥子」
「あ、あのね?慎一郎さん」
「何?どうしたの?」
「今日病院行ったら、もう診察来なくていいって言われたの。だから……」
祥子の顔を覗き込んだら、耳まで真っ赤になっていた
僕は笑って、祥子に深いキスをしながら、自分の体の下に祥子を巻き込んだ
だんだん、お互いの息が、熱が、あがってくる
僕は久しぶりに祥子を抱いた
我を忘れるくらい夢中になって、祥子の身体を貪った
祥子が言った
「幸せすぎて怖い」
僕は答えた
「怖いぐらい幸せだ」
祥子の幸せそうな笑顔を見て、僕は祥子を抱きしめた
修司さんはビールのおかわりを店員に頼んだ
「兄貴、何言ってんの?」
昇司くんもびっくりしている
「いや、違うか。俺のせいかもな」
そう言って、修司さんは僕を見た
「慎さん。長くなるけど聞いてくれる?」
僕は頷いて、修司さんの話に耳を傾けた
祥子達の父親が亡くなったのは、修司さんが小学6年、祥子が小学3年、昇司くんが小学校にあがる前のこと
亡くなる半年前からずっと入院していたらしい
祥子はお父さん子で、学校からの帰り道、毎日病院に行って父親と会って家に帰っていた
父親も一人娘の祥子をとても可愛がっていたそうだ
「だからかな?ちょっと祥子がうらやましかったんだ。当時の俺は」
修司さんは自嘲気味に笑いながら言った
そして父親が亡くなり、葬式もすんで、落ち着いてきたある日、修司さんは窓の外を見上げている祥子を見つけた
『祥子、どうしたんだ?窓の外なんか見上げて』
『ねえ、お兄ちゃん。お父さん、お空のどこかにいるのかな?』
まだ小学3年生の祥子には、父親の死というものが、あまり理解出来ていなかったのだろう
「その時、俺は言ったんだ『そうだな。ずっと話しかけてたら、お父さんが応えてくれるかもしれないな』って。そしたら、あいつ……」
『本当!?お兄ちゃん。じゃ私、ずっとお空と話してる!』
それからというもの、祥子はいつも空を見上げて話しかけていたそうだ
「俺はその時、コイツ馬鹿じゃないか?父さんはもう死んでいないのに、応えてくれるわけないじゃないかって、ずっと思ってた。でも、祥子はずっと話しかけてた。その内、気付いたのか、話しかけるのはやめたけど、ぼーっと空を見上げてるだけになった。そして、1人で笑ったり、怒ったりするようになったんだ……」
「それから、いつでも妄想するようになったと?」
修司さんは頷いて、ため息をついた
「だから、祥子が妄想してるの見る度に、責められてる気がしてた。『お兄ちゃんの嘘つき!』って言われてるみたいだったんだ」
「兄貴……」
修司さんだって当時6年生だ
父親の死を簡単に受け入れることなんて出来なかったはずだ
「修司さん、祥子のトリップ癖のきっかけは、その事かもしれないけど、でも」
修司さんと昇司くんが、僕を見る
「でも今の祥子は、楽しそうだよ。トリップしてる時。だから、そんなに気に病むことはないと思うよ」
「慎さん……」
僕は修司さんに笑いかけた
「そりゃ、勝手に不機嫌になったり、たまに暴走して、何のことだかさっぱり分からない時もあるけどね」
昇司くんが、ぷっと吹き出した
「それに、そんな祥子を見るのも僕の楽しみなんだ」
「慎さんの楽しみ?」
「そう。一体祥子は何を考えてるんだろうって。想像するのが僕の楽しみになってるから」
僕がそう言うと、昇司くんは大きな声で笑った
修司さんもそれにつられるように笑った
「姉貴の旦那は、慎兄にしか出来ないな。他の男じゃ無理だわ」
「そう?僕にとって最高の誉め言葉だよ。ありがとう、昇司くん」
更に昇司くんは笑った
「慎さん、祥子のこと……」
「修司さん、分かってます。妹さんは、一生大事にしますから」
修司さんは、僕に頭を下げた
それから3人でいろんな事を話した
祥子の子供の頃のことだとか、お義母さんと大喧嘩したことだとか、僕の知らない祥子の事がたくさん聞けて、凄く楽しかった
そうして、また3人で飲もうと約束して、それぞれ帰って行った
「ただいま」
家に帰り着いたのは、23時を回った頃だった
祥子はもう寝室で休んでいた
僕が風呂に入って、ベッドに入ったのは、0時近くになっていた
「……慎一郎さん?」
僕がベッドに入った時に起こしてしまったんだろう
「ごめん祥子。起こしちゃった?」
「ううん。半分起きてたから」
そう言って、僕に手を伸ばしてきたので、祥子を抱きしめた
「修ちゃんと昇くんと、何話して来たの?」
「いろいろ。祥子の子供の頃のこととか?」
「ええ?どんなこと?」
「教えない。男同士の秘密だから」
口をとがらせて見上げていたので、その唇にキスをした
「もう、お休み。祥子」
「あ、あのね?慎一郎さん」
「何?どうしたの?」
「今日病院行ったら、もう診察来なくていいって言われたの。だから……」
祥子の顔を覗き込んだら、耳まで真っ赤になっていた
僕は笑って、祥子に深いキスをしながら、自分の体の下に祥子を巻き込んだ
だんだん、お互いの息が、熱が、あがってくる
僕は久しぶりに祥子を抱いた
我を忘れるくらい夢中になって、祥子の身体を貪った
祥子が言った
「幸せすぎて怖い」
僕は答えた
「怖いぐらい幸せだ」
祥子の幸せそうな笑顔を見て、僕は祥子を抱きしめた