失恋の傷には媚薬を
『亮平さん、そろそろ帰ろう』
「え?急だな…。もうこんな時間か」
時計を見るわけでもないのに
こんな時間、と言ってくれた
察してくれたのだろう
「楓、まだいいじゃないか〜」
酔っ払ったお父さんが引き止めに入るが
亮平さんがまた来ます、と
次を作ると渋々納得してくれた
「今日はありがとうございました。美味しい食事も頂いてしまって…、また伺ってもいいですか?」
見送りをしてくれる両親に
最後まで紳士に振舞ってくれる亮平さん
もちろん、と笑顔で答えてくれる両親
亮平さんと一緒に帰って来て
よかった、と改めて思う
『また、ね』
玄関を出ようと手をかけた時
ドアは勝手に開いてしまった