失恋の傷には媚薬を
「…かえ、で」
『…(お姉ちゃんっ)!』
まさか、こんなギリギリで
姉に会うなんて思いもよらない
「つ、椿っ、今日は、遅くなるって」
お見送りをしてくれた両親も驚いている
慌てて二人が話しかけているが
姉はケロっとしている
「それが中止になっちゃったのよ。で、楓はもう帰るの?私にそちらの方を紹介してくれないの?」
澄ました顔が憎らしく思えた
数年前のこと、
私から婚約者を奪った事を
忘れているかのようだ
「それはまた今度、なっ」
お父さんはなんとか私たちを
この場から出そうとするが
姉は私から目を離さない
二度と関わりたくないと
あの時も思ったが
それは今も変わらない事を再認識した