×princess misfortune×
「缶詰め持ってれば良かった」



呟いたわたしに、



「聖偉ちゃんが言ったら笑えない」



樹野くんが笑いながらツッコミを入れてきた。



……本気だったんだけど。



「さっさと帰ろ!! ゆっこお腹空いたんですけど~?!」

「尋香もぉぉ!!」


ゆっこ&尋香のバカテンションが、空気を元に戻してくれた。


「卵あるけど」


「グチャグチャじゃんっ!? 浅野ちゃんウゼェ!!」


黄色い汁でズルズルになった袋を差し出したら、ゆっこに怒られた。



「実哉ちゃんハイ。アーン」


隣を見たら、いつの間にか尋香が実哉の横でチョコレートを食べさせてた。



「それ材料だってば……」


湯煎にかけたチョコレート、人にぶちまけたこと忘れたのか……。


ストップをかけるわたしを無視して、板チョコにかじりつく尋香に卵ズルズルの袋を投げつけた。




「実哉ちゃんも共犯~!! 尋香だけ怒るのズルい~!! 実哉ちゃんも何か言ってぇぇ」



卵でズルズルになった手で実哉に触ろうとしたので、



「実哉で拭かないでよ~!」


察した実哉が逃げた。
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