×princess misfortune×
朝一とは思えないほど高いテンションのクラスに、



「……早いなぁ~」
「あっ! 聖偉ちゃん」


いつも通りの気だるそうな顔をした担任と、相変わらず鬱陶しい笑顔の樹野くんが教室に入ってきた。



「おぅ。浅野復活したか?」



ゆっくりと歩み寄ってきた担任と目が合う。



さっきまであんなに騒がしかった教室が急に静まり返った。



「……謹慎、掛け合ってくれてありがとうございましたっ」



出来る限り自然な笑顔を浮かべて、わたしは担任にお礼を言った。



瞬間、



担任は何も言わないで、ただ優しく微笑み返してくれた。



「……笑ってる」



わたしと担任の笑顔を見て、


珍しいものを見た



と、再びざわつき始めるクラス。






「聖偉ちゃん!! 昨日焼いたクッキー味見してよ」


「ゆっこたち超がんばったんですけどぉ~」


「主にがんばったのは高橋くんでしょ」



調理係のメンツに引っ張られて、わたしたちは家庭科室へと向かった。


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