×princess misfortune×
高橋くんの指示のおかげで、



「うん。食べれる」


昨日電話越しに出来たクッキーは普通の味をしていた。



「浅野ちゃん可愛くない~!! 」


「素直に美味いって言えよ~!」



言ったら調子乗って今日の働きに支障が出かねないでしょーが……。



「ほら。準備始めるよ」



後ろで喚いてるゆっこたちにエプロンを投げつけ、準備に取りかかる。




「浅野さーん。担任が反省文出せってぇ」



教室から手伝いに来てくれた飾り付け係の面々。



先頭に居た沢田さんの伝言で、わたしは慌ててブレザーのポケットに突っ込んでいた反省文を取り出した。



「出してくる間に生クリーム作っといてね!」



言い残した言葉にどれだけ効力があるかはわからないけど……、とりあえず今は職員室へと足を進めた。






「ちゃんと出した?」


「あっ……」



職員室からの帰り道。


家庭科室が不安で仕方なくて、自然と駆け足になる。



それを止めたのは、階段の踊り場からひょっこり現れた樹野くんだった。



「聖偉ちゃん謹慎で俺、寂しかったよ」


満面の爽やかスマイルでクサいセリフを吐く樹野くん。
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