Marriage Knot
「そのくらい編んだら、もういいと思いますよ」

私が声をかけるまで、桐哉さんはすごい集中力でもくもくと編んでいた。かなりの長さの鎖編みができた。私が見てみようと手を差し伸べると、桐哉さんがその手をぐいっと引っ張った。

「ちょっと、桐哉さん……!」

「少し待ってくださいね」

桐哉さんはバランスを崩しかけた私の身体を支えた。そして彼の方に身体を傾けた状態の私の首に、編んだばかりの鎖編みした毛糸をふわりとかけた。それから手早く形を整え、ちょっとバランスを見てから満足そうに歯を見せた。

「うん、やっぱり似合いますね。鎖編みのラリエット」

なんと、桐哉さんは習作の鎖編みで私にラリエットを編んでくれたのだ。思ってもいなかった出来事に、頭が働かなくなり、私は首元に落ちかかった鎖編みをぼうっと見つめた。鎖は一定の大きさに編まれている。とてもきれいな編み目だ。確かに手はきついようで、きゅっと締まった編み目ではあるけれど、レースを編むのならこのくらいのきつさの方が編み目がきれいに見える。

「ありがとうございます……」

私は消え入りそうな声でお礼を言う。桐哉さんの行動のすべてに、どきどきしてしまう私は、もう彼のとりこだ。

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