Marriage Knot
「私は、桐哉さんのニットが好きです。とてもシックで素敵だと思います。私は、ニットができなくて、クロシェばかりですから。このラリエットも……色のチョイスがセンスがあって、私のために編んでくださって。それだけで、ニッターとして素晴らしい方だと思いますよ」
一生懸命になって、私は桐哉さんを励ました。また彼の笑顔が見たかったのだ。果たして、彼は少しだけ肩の荷が下りたようなやさしい表情になった。
「ありがとう。僕はニッター、結さんはクロシェッター。欠けているものを補完できる関係ですね」
「そうですね」
「情けなくはないですか、僕は」
「いいえ。あの……かわいいと思います」
思わずそんなことを口走ってしまった私は、慌ててその発言を取り消そうとした。
「すみません!副社長のことを、かわいいだなんて……。失礼しました!」
「桐哉、ですよ。それに、僕はそんなことを言ってもらってうれしいです。可愛い結さんから」
結果的に場は和んだ。桐哉さんは肩を揺らしておかしそうに笑っている。私はそんな桐哉さんを見て満たされた気持ちになっていた。