* switch *
「翔、連絡くれてサンキュー。で、月夢は今日 大丈夫だったか?」

「お兄ちゃん、会社にはやっぱり 取材の人達がいたけれど…翔君と一緒に入って 何とか今日は仕事が出来たんだよ。」


「帰りはどうして帰って来たんだ?」

「あのね、同期の志木君にお願いして、化粧をして私の服で女装してもらい、取材の人達をそっちに惹き付けてる間に車で帰って来たの。」


「流石月夢。お兄ちゃんが抱きしめたいほど、策士だな。敵にすると怖いな。」


「月夢、あの話を結弦に聞いて貰わないと…。」


私は今日の会社での話を お兄ちゃんにした。


「月都、あいつ何考えてんだよ?俺は反対。元々月都の事信用してないから、あいつの側には 近付くのは危険極まりない。

月夢スポンサーの件は 魅力的だと思うが、
止めとけ。お前をこれ以上 守り切れないのが辛いから。」


お兄ちゃんは 辛そうに私を見る。


「なぁ俺に抱きしめさせて…。今だけ─。」


お兄ちゃんの胸にストンと抱きしめられた。


「これ以上、俺の気持ちを揺さぶらないで…月夢、お願いだから…。」


翔君が側にいながらお兄ちゃんに抱きしめられるのは ものスゴく気不味いけれど、暫くの間身動きしないで お兄ちゃんの胸の音だけを聞いていた───



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