* switch *
定時を過ぎ ロッカーでお化粧を軽く直す。最近は身なりを気にするようになり 眼鏡のないまだ慣れない顔を見る。

こうやって鏡を見ると少しお兄ちゃんに似ているのかなと思う。

携帯が振るえ見ると お兄ちゃんだ。

「月夢お待たせ。もう下にいるから降りて来い。」

「わかったお兄ちゃん 直ぐに行くね。」

電話を終えエレベーターを待っていると 志木君が隣に並ぶ。そしてエレベーターに一緒に乗り込む。

「お疲れ朝倉。お兄さん迎えに来たのか?」

「うんそうだよ。志木君兄に会う?」

「///いいのか?挨拶しときたいけど…」

「じゃあ一緒に行くよ。」

エレベーターが1Fに着き 志木君の腕を掴み前に進む。数歩進んだ所で声がする。

「月夢、そいつ誰?」

お兄ちゃんがエントランスを通って こっちに急いで来る。

「あっお兄ちゃん。あの」

「今晩は、朝倉の同期の志木です。いつも朝倉さんには仕事で助けてもらっています…」

お兄ちゃんは私を自分の方に引っ張り抱き寄せ 片手で抱きしめる。

「///お兄ちゃん どうしたの?」

「ああごめん。月夢が男といるからビックリして…」

「志木さん、月夢の兄です。仕事中は同僚として接するのは仕方ないですが、プライベートでは遠慮して下さい…」

あれ?またデジャブ…いやいやリアルだ。翔君もこの前似たような事を言ってたような…

ってかお兄ちゃん いつまで私を片手で抱き締めてるの?

「さぁ行こう。月夢今日は外でご飯にするか?」

「わ~、お兄ちゃん何処に連れて行ってくれるの?でも、ちょっと恥ずかしいから離して?」

お兄ちゃんはちょっと残念そうに 私から離れるけれど 何故か手を繋ぐ。

これも志木君の前では恥ずかしいから 早く会社から出たい。

「志木君また明日ね、お疲れ様。」

「ああ、またな。お疲れ朝倉。お兄さんも失礼します。」

志木君と別れ車に乗り込み 何処に行くのかなとワクワクしていた。

「月夢。志木ってどんなやつ?」

「う~ん。ずっと同じチームで 唯一緊張せずに普通に話せる人。優しいし親切だよ。だけど仕事全般は 私が志木君に教えているんだ。」

「なる程、月夢の方が優秀って事なら仕方ないか…でもお兄ちゃんは あいつは嫌だな…下心が全面に表れ過ぎだろ?」

「///志木君が下心?ないない…彼女いるみたいだし…」

「あ~月夢はこれだから…俺心配なんだよ。」

またお兄ちゃんは 大袈裟なんだから…いつもお兄ちゃんが側にいるから やっぱり私には彼氏は出来ないのでは?と思っていい?

明日の翔君とのミッションは どの手を使えばクリア出来るのか、いつも仕事での難しい計算よりよっぽど難易度が高い事だと思った…




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