* switch *
翔君に近くにいる事を連絡しなきゃ。携帯を鞄から取り出そうとしていると

「ねぇお姉さん…助けて…」

ベビーフェイスの可愛い顔の男の子が涙目で急に目の前に現れ 訴えてくる。

はい?私が助けないとダメなの?

「僕のお願い聞いて…しつこい女の子にうんざりしてるんだ…30分だけ僕の彼女の振りをして欲しいんだけど ダメ?」

翔君を待つ間ならいいけど…

「少し待って それからならいいよ…」

「ホントに?やった…お姉さん綺麗で おまけに優しんだね…」

翔君に急いでラインを送る。翔君の職場の近くでお茶してるので、終わったら連絡して下さいと。

「お姉さん、そこのカフェでいいかな?」

ニコニコとスマイルがキラキラなこの男の子…どこか憎めない。

「後少しで うるさい子が来るけど…許してね…」

「私が彼女って事で大丈夫なの?上手く騙せるのか 自信ないんだけど…」

「あっ今入って来たよ…僕に任せて。」

パチンとウィンクをされ、ドキマギする。

「お姉さんの名前は?」

「月夢(らいむ)」

「へぇ僕の名前は月都(らいと)。今、運命感じたんだけど…」

「月都酷い。いつも勝手に居なくなるよね…」

女の子が月都君に抱き付きながら 甘い声を出す…

「なぁ俺 お前の彼氏でも何でもないだろ…」

「またまた…月都恥ずかしがって…」

「前にも言った。お前周りを良く見たら?」

「月都しか見えてないから平気だよ…」

チッ…

えっ月都君?今の舌打ち?

「俺 今彼女とお茶してるんだよ。だから お前邪魔なんだよ…」

あのあの 何かさっきまでの優しい雰囲気とかってどこ行った?

すごく目の前のベビーフェイスの 月都君が冷たい…

バッと顔をあげ 女の子が私を見て睨み付ける…

怖い怖すぎる…見ず知らずの私を睨む女の子…

「あんた、何人の男横取りしてんのよ。最低…」

前に置いていたコップの水をバシャッと私は思いっきり頭から掛けられ 女の子は走り去って行った…

余りにも展開の早い修羅場に呆然として、身動き1つしない私の携帯が鳴る。

ハッとして電話に出る。

「月夢ちゃんごめんね…今どこにいるの?」

翔君の声に安心して 思わず電話口で泣いてしまった私…

「え?泣いてるの?」

「ごめん月夢ちゃん、電話借りるね。」

私が泣き止んだのは 翔君の声がしてから…
翔君に抱きしめられていた…



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