ブーケ・リハーサル
「どんな風に変わったの?」
「最初のイメージはそんなに感情の起伏がない人。冷静沈着かな。今は笑顔で自分の意見を押し通す人です」
「そう? 俺も変わったよ、由梨ちゃんのイメージ。真面目でしっかり者。今は謙虚で意外と押しに弱いかな」
「すみませんね、持論がなくて」
「そういう意味じゃないよ。曲げちゃいけないものは曲げない。でも、状況によって身を任せることができる人だよ」

 物は言いようだと思いながらも嬉しかった。そんな風に言ってもらったのは初めてだったから。

「ありがとうございます」
「どういたしまして。夕飯でも食べて帰ろうか」
「そうですね。お腹すきました」

 駅へ向かって歩いていると、急に声を掛けられた。

「あれ、高山さん?」

 目の前には二度と会いたくない男と女が立っていた。

「久しぶり」

 男のほうは、早くこの場から立ち去りたいという顔をしている。

「お久しぶりです」

 このまま、じゃあさようならと言って帰ってしまいたいと思った。

「知り合い?」

 副社長が聞いてきた。

「ええ、前に働いていた会社の同僚です。内田洋二さんと奥さんの玲子さんです」
「初めまして。高山さんに会えるなんてびっくりですよ。今、どこに勤めてるんですか? そちらは彼氏さん?」
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