ONLY YOU~愛さずにはいられない~(完)
それに彼は政治家の名家・伊集院家の人。
私は彼に相応しい家柄じゃない。

私はあの夜…夢を見ていたんだ…
彼に添い寝したのは夢。

全部…夢・・・


「待ってくれ!!璃愛」

彼がドアを開けて、私を追い駆けて来た。

初めて、彼が私の名前を呼んだ。

「このまま…君を離したくない…璃愛」

彼は私を背後から抱きすくめて来た。
麝香の香りの中に混じる彼自身の匂いと温もりが背中越しに伝わる。

「璃愛…行かないでくれ…」

とびっきりの甘さを込めて恋人のように彼は私の名前を呼び続けた。


―――康秋のそばに居てあげてと誰かが戸惑う私に訴えかけた。

香波さん?


――――お願いだから…

でも・・・彼が求めてるのは貴方よ・・・香波さん。

私は彼女に切り返す。

誰かの咳払いが私達に水を差した。

「康秋お前は一体、何をしてるんだ?」

この低く響くバリトンの声は・・・



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