ONLY YOU~愛さずにはいられない~(完)
二台だけのATMには俺達を除いても、十人ぐらい並んでいた。

俺と彼女も並んで順番待ちする。

「これ…どうぞ」

「えっ?」

後ろに並ぶ俺にマスクを差し出した。

「インフルエンザ、流行してるし、マスクした方がいいですよ…」

「ありがとう」
俺は反射的に受け取り、礼を言う。

彼女に優しくされると凄く嬉しい気分になる。我ながら単純だ。

「明日、日帰りで大阪出張なんだ…礼に大阪土産買って来てやるよ」

「・・・じゃ蓬莱の豚まんで」

「分かった…シュウマイもつける?」

「はい…」

彼女は俺が自分に纏わりつく理由を知ったはずなのに何だか、以前よりもいいムードになっていた。

やっぱり彼女自身も俺に脈があるのか?
でも、こうして彼女と話せるだけでも俺は幸せだった。
夢でも嬉しい。
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