あなたしか愛せない~皐月お兄ちゃん編~
出会い


夏帆と出会ったのは、俺は教員採用試験を何校か受けている時だった。


試験や面接が思うようにいかず家に帰りたくなくて、近所の公園によく寄っていた。



「…どうしたの?お兄ちゃん」

「!」

俯いてベンチに座っている時に、声を掛けてきたのが夏帆だった。


「暇なの?」

「…暇そうに見える?」

子供は嫌いじゃない。

けど、今この状態で¨暇なの?¨と聞かれるとイラッとくる。


「うん」

このガキ…

「はぁ…俺のことはいいから、あっちで遊んでろ」

しっしと追いやる。


「お兄ちゃんも遊ぼうよ。ちょっと来て」

「お…おい」

腕を引っ張られ、どこかに連れていかれる。



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