ずっと前にね
一章・故郷

汚れているから

町の風景は覚えていた。物心付くまでは祖父母と母と兄弟、皆でこの町に住んでいた。だから、母が再婚して町を離れた後も休みになればこの町へ遊びに来て、祖父母の家に泊まっていた。
中学に入って1年が過ぎた辺りからだろうか。明け方になると体がもぞもぞして、目を覚ますとパジャマのボタンが必ず開けられていた。
寝ぼけて自分で取っているのだろうかと気にしなかったのが間違いだったのかもしれない。中学3年になるとボタンだけではなく下着1枚になって朝が来ていた。怖くなって母に相談しても真剣に取り合ってはもらえず、兄弟は皆男で友達にも言い出しづらいから他に相談できるような相手はいなかった。
冬休みや卒業が近付くと私の体に高電圧が流れたような痛み、叫ばずにはいられない強い痛みで目が覚めて全ての疑問が解かれた。母の再婚相手である義父や女遊びの激しい兄たちが夜な夜なやって来ては鉢合わせする事なく、私を性処理の道具として腰を振っていたのだ。もちろん、母に話しても相手にしてもらえなかった。
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