内実コンブリオ
「ここの豚骨ラーメンが、とにかくおすすめなんすよ」
「じゃあ、自分もそれで」
目の前で栗山くんは、サイドメニューも加えながら、てきぱきと店員さんに注文している。
…自分って、ふらふら人の後ろをついてばかりいる。
優柔不断にも、度というものが存在するはず。
自分では一切考えず、前を行く人にただ、のらりくらりとついていく。
やっぱり駄目だな、自分って。
少しばかりの自己嫌悪に陥っていると、栗山くんが気を遣うように話しかけてくれた。
それが尚更、自分を情けなく思わせる。
こんなことではいけない、と我を諭した。
「本当に今日、大丈夫でした?予定とか、気分とか…」
「だ、大丈夫です。少し考え事をしてしまいました」
「考え事…。べっ、別に、正直に言ってもらっていいんで!俺に気を遣って、嫌々来たんだ、って言ってもらっても平気っつうか、覚悟はしてるんで!!」
「いえ、とんでもない。今日はお話したいことがたくさんあって、来ましたから」
自分がそう言うと、栗山くんは微かに目を見開き、驚いている様子だった。