マリンシュガーブルー

「マスターに美味かったとお伝えください」

 その言葉はもちろん、コメントを既に見てしまった美鈴まで嬉しくなってしまっていた。早く、宗佑にこれ見せてあげたい!

「ありがとうございます。弟も、」

 うっかり『弟』と言ってしまう。

「いえ、店長も喜びます」
「弟……さんでしたか。ご姉弟でされていらっしゃるのですね」
「はい、うっかり……。お客様に関係のないことを、申し訳ありません」
「いいえ。ご姉弟で頑張ってください。お二人のお仕事の味でていますから」

 表情はないのに。優しい言葉と大人の声。なんだか美鈴は泣きそうになってしまった。そういう懐の広い、温かい、大人が労ってくれる声が久しぶりのような気がして……。彼がヤクザなんて、もう、忘れてしまいたい。

「こちら、お礼のチョコレートフレークです。店長の手作りです」

 小さな透明カップ、義妹がお洒落なシールを貼ってくれたものを手渡した。

「いただきます。酒の肴にします」

 え、その甘いのを?? 驚いている美鈴にかまわず、黒い彼が店を出て行った。
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