二度目の恋
カーテンの隙間から、朝日が眩しく部屋の中を照らす。
薄目を開けると、そこは紛れもなく自分の部屋。
ちょうどいいタイミングで目覚まし時計が鳴り、私は慣れた手つきでそれを止める。
時計はちょうど6時を指している。
階段を降りていくと、両親が出勤するところで、玄関まで見送る。
「気をつけていってらっしゃい」
私が両手をヒラヒラと振っていると、両親は顔を見合わせて、ニヤニヤ笑っている。
「何?どうしたの?」
私が首を傾げると、両親は私の左手をまじまじと見ている。
私の左手薬指にキラキラ輝く宝石…それは昨日課長から贈られた婚約指輪。
「昨日はビックリしちゃった~!玄関開けたら、超イケメンの男の人と美咲が並んで立ってるんだもん!」
「ゆっくり話したいんだけど、そろそろ行かなくちゃな。また週末にゆっくり話そう」
両親は慌ただしく出勤していった。
昨日はあれから私の体調が悪化してしまい、課長の車で家まで送ってもらった。
課長の住むマンションの地下駐車場には、高級車の展示場って言っても過言ではないくらい、たくさんの車が並んでいた。
課長の車も外国の高級車だった。
課長って何者なんですか?ってやっぱり怖くて聞けない。
家の玄関で両親と初対面を果たした課長は、誠実に自己紹介して、両親から結婚の許しまで取りつけた。
さすが仕事が出来る人は違うな~なんて、変に感心してしまった。
週末に改めて4人で会って、今後の詳しい話をする事になった。
私は簡単に朝食を食べて、身支度を整えると、バッグを持って、玄関でパンプスを履いた。
同時に玄関のインターホンが鳴る。
玄関を開けると、目の前に課長が立っている。
「おはようございます」
課長は怪訝そうに私を見る。
「おはようじゃないだろ。玄関開ける前に確認しろよ」
「すみません…」
今朝は一緒に出勤しようと、課長が車で迎えに来てくれていた。
課長の車は本社の地下駐車場に入っていく。
課長は基本的に車通勤で、時々運動不足を解消するために徒歩で通勤する事もあるらしい。
二人並んで地下1階からエレベーターに乗り込む。
総務部のフロアで降りたのは、課長と私だけだった。
廊下を進み、課長が総務部のドアを開けてくれる。
二人並んで総務部に入ると、みんなの視線が私たちに釘付けになった。
そういえば、昨日1階エントランスで…ふと昨日の事を思い出し、私はひとり焦った。
課長を見上げると、涼しい顔でデスクに向かって歩いて行く。
課長のデスクの前には、総務部や営業部、秘書室の女性社員数名が立ち並んで課長を待ち構えている。
こ、怖い。
思わずゴクリと唾を飲み込む。
ちょうど原田先輩が出勤してきて、私の横に立ち、ニヤニヤ笑っている。
「佐伯課長、おはようございます」
待ち構えていた女性社員たちが課長に挨拶する。
「おはよう」
課長は至って普通の表情で挨拶する。
課長席の横に座っている部長は、そんな課長をニヤニヤ笑って見ている。
秘書室の女性社員が話を切り出した。
「佐伯課長、ご結婚されるという話は本当でしょうか?」
いつの間にか総務部には他の部署の社員たちも集まって、人だかりが出来ている。
課長の声が総務部に響く。
「あぁ、本当だ。俺は総務部の松本美咲と結婚を前提につき合ってる。近いうち、結婚する予定だ」
課長は優しい眼差しを私に向ける。
その眼差しをそらす事なんて出来ない。
たくさんの視線が私に突き刺さる。
「はい」
ただ一言、精一杯震える声で答えた。
たくさんの歓声と驚きと悲鳴が聞こえてくる。
「おめでとー!!」
原田先輩は私の背中をバシバシ叩いている。
い、痛いです。少しは手加減してください。
心の中でそう愚痴る。
同期の詩織は私の左手薬指の指輪を見ながら、目をキラキラさせている。
目が¥マークになってるのは、気のせいかな。
「そろそろ始業だよ~みんな仕事に戻って~!」
総務部長の一声で、ようやく騒動は解散となった。
私は既に一日仕事をした気分で、ぐったり席に着いた。
「美咲ちゃん、一躍社内の有名人ね~」
「あはは…」
原田先輩の言葉にガックリ肩を落とす。
ふと課長を見ると、既に書類に目を通し、会議に向かうようだった。
課長の心臓は鉛で出来てるんじゃないかって思うくらい、通常通り仕事をしている。
こうして、地味に真面目に仕事をしてきた私は、今日一日ですっかり有名人になってしまった。
「美咲、今日定時で上がるようにするから、一緒に帰ろう」
課長は私の横を通り過ぎる瞬間、耳元で囁いた。
「はい。お疲れ様です」
苦笑いを浮かべて、課長を見送った。
朝イチでパソコンのメールのチェックをしていると、スマホにメールが届いた。
『大丈夫?もし困った事があったら、いつでも連絡して。俺が必ず守るから』
まだ仕事が始まったばかりなのに、課長からのメールで私の心臓の鼓動はスピードを上げる。
薄目を開けると、そこは紛れもなく自分の部屋。
ちょうどいいタイミングで目覚まし時計が鳴り、私は慣れた手つきでそれを止める。
時計はちょうど6時を指している。
階段を降りていくと、両親が出勤するところで、玄関まで見送る。
「気をつけていってらっしゃい」
私が両手をヒラヒラと振っていると、両親は顔を見合わせて、ニヤニヤ笑っている。
「何?どうしたの?」
私が首を傾げると、両親は私の左手をまじまじと見ている。
私の左手薬指にキラキラ輝く宝石…それは昨日課長から贈られた婚約指輪。
「昨日はビックリしちゃった~!玄関開けたら、超イケメンの男の人と美咲が並んで立ってるんだもん!」
「ゆっくり話したいんだけど、そろそろ行かなくちゃな。また週末にゆっくり話そう」
両親は慌ただしく出勤していった。
昨日はあれから私の体調が悪化してしまい、課長の車で家まで送ってもらった。
課長の住むマンションの地下駐車場には、高級車の展示場って言っても過言ではないくらい、たくさんの車が並んでいた。
課長の車も外国の高級車だった。
課長って何者なんですか?ってやっぱり怖くて聞けない。
家の玄関で両親と初対面を果たした課長は、誠実に自己紹介して、両親から結婚の許しまで取りつけた。
さすが仕事が出来る人は違うな~なんて、変に感心してしまった。
週末に改めて4人で会って、今後の詳しい話をする事になった。
私は簡単に朝食を食べて、身支度を整えると、バッグを持って、玄関でパンプスを履いた。
同時に玄関のインターホンが鳴る。
玄関を開けると、目の前に課長が立っている。
「おはようございます」
課長は怪訝そうに私を見る。
「おはようじゃないだろ。玄関開ける前に確認しろよ」
「すみません…」
今朝は一緒に出勤しようと、課長が車で迎えに来てくれていた。
課長の車は本社の地下駐車場に入っていく。
課長は基本的に車通勤で、時々運動不足を解消するために徒歩で通勤する事もあるらしい。
二人並んで地下1階からエレベーターに乗り込む。
総務部のフロアで降りたのは、課長と私だけだった。
廊下を進み、課長が総務部のドアを開けてくれる。
二人並んで総務部に入ると、みんなの視線が私たちに釘付けになった。
そういえば、昨日1階エントランスで…ふと昨日の事を思い出し、私はひとり焦った。
課長を見上げると、涼しい顔でデスクに向かって歩いて行く。
課長のデスクの前には、総務部や営業部、秘書室の女性社員数名が立ち並んで課長を待ち構えている。
こ、怖い。
思わずゴクリと唾を飲み込む。
ちょうど原田先輩が出勤してきて、私の横に立ち、ニヤニヤ笑っている。
「佐伯課長、おはようございます」
待ち構えていた女性社員たちが課長に挨拶する。
「おはよう」
課長は至って普通の表情で挨拶する。
課長席の横に座っている部長は、そんな課長をニヤニヤ笑って見ている。
秘書室の女性社員が話を切り出した。
「佐伯課長、ご結婚されるという話は本当でしょうか?」
いつの間にか総務部には他の部署の社員たちも集まって、人だかりが出来ている。
課長の声が総務部に響く。
「あぁ、本当だ。俺は総務部の松本美咲と結婚を前提につき合ってる。近いうち、結婚する予定だ」
課長は優しい眼差しを私に向ける。
その眼差しをそらす事なんて出来ない。
たくさんの視線が私に突き刺さる。
「はい」
ただ一言、精一杯震える声で答えた。
たくさんの歓声と驚きと悲鳴が聞こえてくる。
「おめでとー!!」
原田先輩は私の背中をバシバシ叩いている。
い、痛いです。少しは手加減してください。
心の中でそう愚痴る。
同期の詩織は私の左手薬指の指輪を見ながら、目をキラキラさせている。
目が¥マークになってるのは、気のせいかな。
「そろそろ始業だよ~みんな仕事に戻って~!」
総務部長の一声で、ようやく騒動は解散となった。
私は既に一日仕事をした気分で、ぐったり席に着いた。
「美咲ちゃん、一躍社内の有名人ね~」
「あはは…」
原田先輩の言葉にガックリ肩を落とす。
ふと課長を見ると、既に書類に目を通し、会議に向かうようだった。
課長の心臓は鉛で出来てるんじゃないかって思うくらい、通常通り仕事をしている。
こうして、地味に真面目に仕事をしてきた私は、今日一日ですっかり有名人になってしまった。
「美咲、今日定時で上がるようにするから、一緒に帰ろう」
課長は私の横を通り過ぎる瞬間、耳元で囁いた。
「はい。お疲れ様です」
苦笑いを浮かべて、課長を見送った。
朝イチでパソコンのメールのチェックをしていると、スマホにメールが届いた。
『大丈夫?もし困った事があったら、いつでも連絡して。俺が必ず守るから』
まだ仕事が始まったばかりなのに、課長からのメールで私の心臓の鼓動はスピードを上げる。