気高き国王の過保護な愛執
「そう使ってくるとはな…」

「四日後に裁判が開かれます。第二審がその三日後に。訴追者は王妃殿下ご本人であらせられます。斬首を求刑されており、実行はエキノクス・ディに、"窓"でとのご要望も」


憲兵隊以外の三人は、天を仰いだ。どこまでも趣味の悪い王妃だ。

クラウスは人目もはばからず舌打ちした。


「裁判など、見せかけだけ正統な手続きを踏むあたりが彼女らしい。妃殿下が訴追者では、求刑の内容がそのまま判決になるに決まっている」

「だからおれは、裁判に関して王族が過剰に権限を持っている現状を正そうとしたんだ。司法と王権は互いに独立すべきだ」


不機嫌に答えるルビオに、クラウスが冷ややかに返す。


「で、どうなってるんです、その美しい展望は」

「やっと議会に議案を…」

「まじめに進めすぎです…」


うなだれるクラウスを退け、憲兵隊がルビオを部屋から連れ出そうとする。


「どこへ連れていくのですか」

「当然ながら、城内の地下牢です」

「この部屋に幽閉で十分でしょう?」

「妃殿下のご命令ですので」


隊員がルビオに手枷をはめる。冤罪だと知ってはいても、それは衝撃的な光景だった。


「へ、陛下…」


ルビオと呼びそうになり、すんでのところでこらえる。後ろ手に拘束されたルビオは、振り返って微笑んだ。


「ぼくは大丈夫」


それからふと笑みを消し、「クラウス」と友人に呼びかける。


「リッカを守れ」

「御意」
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