気高き国王の過保護な愛執
「それもあるがな、『顔を見せたいと思ってほしい』というほうが近い」

「わしらの信頼が、彼らの力の源であると、思わせてほしいのさ。至極まっとうで素朴な、国民の感情だ」

「これ、差し上げます。普段のお茶の三倍の時間をかけて煮出して、明日の朝飲んで。お酒の影響が和らぐわ」


フレデリカは懐から、小分けにしたハーブティの茶葉をいくつか出し、テーブルに置いた。男性たちがめいめい手に取り、嬉しそうに笑う。


「ありがたくいただくよ。お勤めご苦労さま」


ふたりはそれからも、新しい王についてあれやこれや語り合っていた。




肝心の、ここからもっとも近い、青い玉が埋まった道がどこなのかを聞くのを忘れ、フレデリカはさらにうろうろするはめになったが、日暮れ前には無事に王城にたどり着いた。

城門の前には堀が掘られ、細い橋がかかっている。ここを通らないと城へは入れない。

衛兵に挨拶をして門をくぐったとき、前庭の隅にうずくまる人影を見た。


「あの人は?」

「ここ一年ほど住み着いてる奴です。たまにふらっとどこかへ消えては戻ってくる。まあ害もないので置いてやってますが」


若い衛兵が教えてくれる。


「占いをするんですよ。それがけっこう女たちに評判でね」


もうひとりの衛兵もそう言って笑った。

フレデリカは、薄汚れたローブに身を包んだ人影のほうへ近づいていった。日当たりのいい芝の上にあぐらをかき、置物みたいにじっとしている。

頭からすっぽりローブをかぶっているため、顔はわからない。性別も判別がつかず、かろうじて覗く指先から、相当の年齢だろうと思われた。


「ごきげんいかが」


返事はなく、人影は半身を折るようにして、ゆっくりと会釈をした。男性の仕草だとフレデリカは感じた。

なにかなかったかと懐を探り、香油の入った小瓶を見つけた。
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