元ヴァイオリン王子の御曹司と同居することになりました
心が痛むのと、イラっとするのと、いろんな感情が渦巻くのを懸命に抑えながら、常務の机の回覧トレイに雑誌を置く。
整然とした机。
彼の強さ、清廉さ、努力、優しさ、周囲への気遣い……、
それらを感じるこの空間が、
ここ数分の複雑な気持ちを集約してくれた。
–––––––愛おしい。
彼の存在が、愛おしい。
……あーあ。
心の中で盛大なため息をつきながら踵を返した。
出海君の家に暮らして4日。
たった4日で落ちるなんて、ちょろいな、自分。
定時でフロアを出て、ロッカーに入れておいたヴァイオリンケースを持ち、エントランスへ向かうと、ちょうど常務が外出先から戻ってきたところだった。
胸がざわめくのと、彼が私に気づいて王子スマイルを浮かべたのはほぼ同時。
必死にポーカーフェイスを保って、
「お先に失礼します」
と頭を下げて通り過ぎようとすると。
「お疲れ様でした。行ってらっしゃい」
あーもーだめだ。完璧にだめだ。
微妙な笑顔で、「行ってきます」と言って、頭を下げて、外へ向かった。
整然とした机。
彼の強さ、清廉さ、努力、優しさ、周囲への気遣い……、
それらを感じるこの空間が、
ここ数分の複雑な気持ちを集約してくれた。
–––––––愛おしい。
彼の存在が、愛おしい。
……あーあ。
心の中で盛大なため息をつきながら踵を返した。
出海君の家に暮らして4日。
たった4日で落ちるなんて、ちょろいな、自分。
定時でフロアを出て、ロッカーに入れておいたヴァイオリンケースを持ち、エントランスへ向かうと、ちょうど常務が外出先から戻ってきたところだった。
胸がざわめくのと、彼が私に気づいて王子スマイルを浮かべたのはほぼ同時。
必死にポーカーフェイスを保って、
「お先に失礼します」
と頭を下げて通り過ぎようとすると。
「お疲れ様でした。行ってらっしゃい」
あーもーだめだ。完璧にだめだ。
微妙な笑顔で、「行ってきます」と言って、頭を下げて、外へ向かった。