華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
アーロン国第一王子、アレックス・マーティル・アーロン殿下。
彼は、左右の瞳の色が違うことで有名だった。
それはアーロン国の現国王が持つ金色の瞳と、王妃の持つ銀色の瞳を両方持ち合わせ生まれてきたからで、現にこの国では金と銀を採掘し、それで財を成している。
そんな国に、その瞳の色を持って生まれた王子。
生まれてくるべき所に生まれた神の子、と、周りからは彼のことを『金と銀の王子』と呼び、称えていた。
私も王子がそう呼ばれていることは知っていたけど、実際の姿を見たことはなく。
まさかこんな所で会うことになろうとは。
そしてまさかここまで眉目秀麗のお方だったとは……。
「……いかにも、私がその『金と銀の王子』と呼ばれるアレックスだが、君は礼儀と言うものを知らないのか?」
不機嫌そうな表情を浮かべながらそう言われ、私は慌ててボロボロのドレスの裾を持つと、アレックス殿下に対し一礼をする。
見た目はいいけれど、どうやら中身は最悪のようだ。
いや、あの忌まわしき国の王女である私だから、そういう態度をするのか。
真実は分からないが、とにかく見た目とはえらくギャップがある。