華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~


――私ね、ずっと考えていたの。

自分にできることは、なにか?ということを。



それは、この命をかけてでも、王子を守るということ。

……それが今、初めてできたように思う。



元々、私の命はないものだった。

国が無くなった時点で、私は死んだも同然だった。

けれど、王子がこうして今まで私を生かしてくれた。


嬉しかった。
私を必要としてくれて。

私を好きだと言ってくれて。


でも、いつまでも私は受け取るだけで、なにも返してあげられなかった。


だけど、今こうやって王子のことを守ることができた。


王子は悲しむかもしれない。

それでも、その苦しみは長い人生から考えたらほんの一瞬の出来事だから。


きっと王子にはもっといい人がいるはずよ。

愚国の王女と忌み嫌われる私なんかよりも、もっと。



だから、だからもういいの。

私はこれ以上の幸せを望まない。



ありがとう、アレックス。

あなたはまさに、私の王子様だったわ――……。




涙が一筋零れ落ちる。

そして、私の意識はそこからぷつりと糸が切れるように、消えた。
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