華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~


何回も何回も同じことを繰り返し、やがてあるとき手招きをしていた母が、突然手を左右に振った。

少し寂しそうにしていたけれど、でもその顔はにこやかだった。





母は花畑の向こうで、一生懸命口を動かして、なにか伝えようとしている。

けれど声が聞こえない。

やがて母がどんどんとぼやけていく。




私も必死に母を呼ぼうと声を上げる。

でもその声は届かない。





目の前が真っ暗になる。

ああ、またいつもの……。

そう思ったとき、母の声がハッキリと聞こえた。




『ソフィア、生きて。どうか幸せになって――……』
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