あべこべの世界
 孝志からのメッセージがスマホの画面に表示される。

 窓から夕日が差し込み、そろそろ定時の五時になろうとしていた。

 今日は会社帰りに、敏ちゃんの部屋に置くフロアーランプを見に行く予定だよね。

 そうだ、今日は孝志とそんな約束をしていたのを忘れていた。

 今日は予定通りに会社を出られそうだ。

 私は素早く簡単な返事をする。

 待ち合わせの場所はあらかじめ決めていた。

 パソコンの電源をおとし、なるべく音を立てないように帰り支度をする。

 別に悪いことをしているわけではないけど、誰かに声をかけられたり、仕事を言い渡されたりしたら面倒くさいことになってしまう。

「お先に…」

 誰にも聞こえないように挨拶をし、そそくさとエレベーターに乗り込んだ。


 会社を出たところで、いきなり背後から誰かに肩を叩かれた。

 振り返るとそこに立っていたのは、身長180センチの平成イケメン健二だった
< 28 / 49 >

この作品をシェア

pagetop