あべこべの世界
「ぼくには直美くらいの女がつり合っているとは思うけど、敏子さんの美しさの前に惹かれてしまう自分の心が抑えきれないんだ」

 直美くらいの女?

 直美はこの世界では不細工。

「この後、食事でも一緒にどうですか?」

 健二はずいと身を乗り出してわたしに迫った。

「は、はい」

 わたしは健二の勢いに押されてそう返事をしてしまった。

 もうこのあべこべの世界、どうにでもなってしまえっ!
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