あべこべの世界
 平成イケメンがわたしを眩しそうに見つめて目の前に座っている。

 カフェの小さめなテーブルのおかげで健二との距離も近く、お互いの呼吸の音が聞こえそうなくらいだ。

 緊張してコーヒーを飲み干してしまった後は水ばかり飲んだ。

「嬉しいな。敏子さんとこうやって二人で話ができるなんて」

 健二は頬杖をつき顔を傾ける。

 イケメンでないと似合わないポーズだ。

「ぼくみたいな不細工な男に今日は付き合ってくれて本当に嬉しいよ」

 ごくりと自分の水を飲み込む音が聞こえた。

 これは謙遜で言っているのか?

 それともあべこべの世界だから、イケメンな健二はもしかしてこの世界では本当に不細工になってしまうのだろうか?

「今までずっと敏子さんに声をかける勇気がなくて」

 健二は真剣な眼差しで続ける。

 いやいや、今まではわたしのことなんて眼中になかったでしょう。

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