呪い

すぐに思い出したのは、九ケ沼康子の言葉だ。

――自分の部屋とか、おうちとかで、変な文字を書いたお札を見ませんでしたか? あるいは……たとえば、人の形に切り抜いた紙とか、藁で作った人形とか……

康子は確かにそう言った。

とすると、この人形で呪いをかけている、ということなのだろうか。このせいで、あの怖い夢を見たのだろうか。

沙樹は薄気味悪くなって、人形の胴体と頭を床に放りだした。

(でも、誰だろう?)

と、疑問に思った。誰がこれをベッドの下に放りこんだのだろう。

沙樹は週に一度、日曜の朝に、自分で部屋を掃除する。まじめ、だからではない。父親の再婚相手に、自分の部屋をかってに掃除されたくなかった。だから、「自分の部屋は自分で掃除します」と約束し、実際にそれを守っている。

前回掃除したのは、三日前の日曜日だ。ベッドの下にも掃除機をかけた。そのときは人形なんてなかった。

うっかり見落とした、という可能性も考えた。

でもあの日は、父と一美さんがいっしょに外出するというので、真由と祥子を呼んでいた。だから、念入りに掃除したのだった。ベッドの下に人形なんてなかった。それは間違いない。

沙樹はハッとした。

あの日は、真由と祥子と三人でお昼に焼きそばを作って食べ、夕方までおしゃべりしていた。

沙樹はその間、何度か席を外している。そのすきに真由か祥子のどちらかが、あるいはふたりがそろってベッドの下に人形を放りこんだ、ということはないだろうか?

(可能性は……あるよね)

と、沙樹は思った。

< 13 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop