恋が始まる前に〜『あ』で始まる言葉を言いたくて〜❤️

徹が『好きだよ』と言ってくれる。
それだけで、ちっぽけな自分の存在価値が認められた気がして翼は結婚を快諾したのだ。

結婚をする相手がいるだけで自分はめぐまれている、幸せなんだ。そう思ったからだ。




だが、これはどうしたことだろう。

どうしたって胸が痛む。

エレベーターホールで徹が熊本に安上がりな女と話していたのは、恐らく翼のことだ。

高級レストランも指輪も要らない安上がりな女、そんな意味だ。



結構な時間、へんなふうに座り込んでいた為に翼の足は痺れてきていた。

立ち上がったら、たいそうな酔っ払いみたいによろけてしまいそうだ。



バッグを床に置き両手を床についてから膝も床につけた。

翼がまるで四つん這いみたいな状態になっていた時、頭上から声がふってきた。

「おーおー、今から雑巾がけでもするのか?山梨。ご苦労様」

名前まで呼ばれて顔を上げると、そこには見知った男の姿があった。



「チーム長! こ、コレは、あの…す、ヨガですよ、ホットヨガ。流行ってるんですよ知らないんですか?」

「は? 夜の会社でヨガなんかするな。第一、ホットヨガとは暑いところでやるもんだ。こんな冷えた廊下でするもんじゃない。知らないのはお前だろが」
相変わらず口の減らない男に翼はムッとしていた。


この男は、日本酒業界で有名な株式会社トントリーホールディングスの会長の孫で、翼の所属する広域営業促進部の若きチーム長でもある目黒 斗真だ。

「ヨガはいいから、とっとと帰れ」
目黒は立たせようとして無理に翼の腕を引っ張りあげた。
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