君が好きなんだ。
「新しく好きな人を探そう、と言うわけじゃないよ。ただ、好きになる『可能性』のある人との出会いは求めてもいいんじゃない?」

「可能性のある人?」

「そっ。今は考えられなくても、そのうち、まぁ、須田のこと、友達として、になった時に好きになる可能性のある人がいたら、そこから探すよりいいじゃん。うちらもう25よ?」

「あーですよねぇ」

「のんびりしてる暇はないのよ!」

ビシッと指をさす凛に笑いながら、私も『がんばります!』と背筋を伸ばした。



本当は須田くんに好きになってもらいたかった。

両思いになりたかった。

1年前、その思いは断ち切られたけど、好きという気持ちは消えなくて。

本当に本当に好きになったからこの気持ちを大事にしたいと思った。

思うだけだから許してほしいと、こっそり須田くんの背中に謝った。

凛に話したように、いつか、いつか、またこんなに好きになれるひとが出来るといいな。

何も変わらないけど、私はまた一歩前に歩けた気がした。
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