君が好きなんだ。
「…誰のせいでこうなったんでしょう?」

「あっ、はい、オレですね」

笑いながら手をあげる須田くんに私も笑ってしまった。

「なんかばれてたんだよ。…オレが沢村好きだってことも、付き合いだしたことも。『おっ?お前ら上手く行ったみたいだな?』ってさ。やっぱりあの人すげーよ。観察力も…」

尊敬と憧れの眼差しを部長に向ける須田くん。

「侮れませんねぇ、あのおじさんは。もらった飴ちゃんいる?」

「いらねぇよ」

二人で笑いながら仕事を再開した。



「終わりそうか?」

「うん、もう終わった」

定時を30分ほど過ぎたころ隣から声をかけられた。

「オレももう終わる。…一緒に帰ろ?」

「…うん」

先に帰り支度をすませ、エレベーターホールで待っていると『お待たせ』と須田くんがやってきた。
二人並んでオフィスビルをでる。
途中の公園に入るとどちらかともなく手を繋いだ。

「オレんち、来る?」

「うん、夕食作ろっか?簡単なモノしか出来ないけど…」

「ん、頼む。一緒に作ろう」

「ふふっ、お願いします」




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