君が好きなんだ。
「…まったくもう…!」

自分のデスクに戻り大きなため息をつく。

「お疲れさん」

「あぁ、須田くん…ホント疲れたよ…」

隣の席の同期、須田颯斗くんに思わず愚痴もこぼれてしまう。

「部長と沢村のやり取り、いつも和ませてもらってるよ」

クスクス笑いながら言う須田くん。

「笑いすぎじゃありません?…はぁ、もう3年目なのにいつまでたっても新人扱いっていうか、子供扱いっていうか…」

「そんだけかわいがってるんだよ、沢村のこと」

「うーん、それはありがたいんだけどね…」

「オレは部長尊敬してる。仕事もできるし、部下のことも大事にしてくれるし。オレもあんな男になりたいって思う」

さっきまでのニコニコ顔を封印し、難しい顔をして書類を見ている部長を真っ直ぐな瞳で見つめる須田くん。

「…須田くんなら大丈夫だよ」

「…そっ?ん、ありがとう」

ボソッと呟いた私の言葉を拾い、照れたように笑う。その笑顔にドキッとした胸を押さえ込むように私も笑う。

「私も部長のことは尊敬してるんだよ。構ってもらえてるのも嬉しい。…ただね?」
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