君が好きなんだ。
「ん?」

止めた言葉の先を促すように須田くんが私を覗きこむ。

「…私もね、もう今年は25になるの。だからね、少しは大人の女性として扱ってもらわないと…「ぶっ!」」

言い切る前に吹き出した須田くん。

「…須田くん、失礼じゃございませんこと?」

肩を震わせて笑っている須田くんに冷たい視線をぶつける。

「わっ、悪いっ。うん、そうだな、そのとおりだ。ふっ」

「絶対思ってないよね?最後笑っちゃったよね?」

じとーっと睨むと『思ってるって』と言いながら私の頭を撫でてきた。

「っ…やっぱり子供扱いだー」

赤くなってしまった顔を隠すように乱された髪を直す。

部長にしても須田くんにしても、いや、この部署にいる人みんな私のことは子供、あるいは妹、あるいは犬?ペット扱いだ。背は156㎝と高くはないが小さくもない。顔立ちだって童顔と言うわけではない。なのに子供扱い。…納得できない。

「怒るなって。みんな沢村見てホッとするんだよ。癒し系ってヤツ?」

クスクス笑いながらも、フォローを入れる須田くんはさすがに仕事ができる男だ。
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