君が好きなんだ。
「そうなのかなぁ?ムムム…」

まだ納得できずに悩んでいると

「まぁ、うちの部署のゆるキャラだな、沢村は」

「そこはアイドルって言ってよ!」

まだ笑っている須田くんを横目で睨み、私は仕事を再開した。お使いでロスした分取り戻さなければ。

「沢村さん」

やる気を出したところに声をかけられ出鼻を挫かれた。

「…あぁ、斉藤くん。どうしたの?」

「部長もひどいですね。沢村さんをあんな扱いして。オレはちゃんと沢村さん『女性』として見てますよ」

「はぁ…それは、どうも?」

疑問符をつけてしまうのは仕方ない。話かけてきたのは一つ後輩の斉藤くん。俗に言う『イケメン』なんだろうけど、言ってくることが軽くて少し、いやけっこう苦手なタイプ。

スルーしたくてデスクにある資料を整理しながら、『私忙しいの!』アピールをしたのだけれど、

「沢村さん、今夜空いてませんか?食事行きましょう」

斉藤くんには通じなかったようで。私は小さくため息をつき、

「ごめんね、用事があるの。また今度みんなで行きましょう」

『みんなで』のところを強く言ったつもりなんだけど、今度こそは通じただろうか。

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