極上の恋愛はいかが?
「高原さん!話があるから来ていただけますか?」

通り過ぎようとした瞬間、社長に右腕を捕まれ、予測外の行動に戸惑う。

「えっ?」
「いいから」
「しゃ、社長 申し訳ございませんが、まだ業務中ですので…」

すんなりと了承してくれるとは思わないが、抵抗をしてみる。
ちらっと見た上司の表情は変わることなく、じっと社長を見ていた。
この二人の間には簡単に言い表せないものがあるのだろう。

「悠真!まだ話は終わってなー…」
「だからもう決まったことなんだ。よろしく頼むよ。」
「悠真!」
「高原さん、行くよ」
「は…はい!」

莉央の手を掴んだまま離そうとはせず、そのまま佐々木部長の前から遠ざかる。
突然のことにどうしたらいいのか戸惑うのも無理はない。
嫌なら今すぐ手を振り払えばいいだけなのにそれすらしないで繋がれるまま馬鹿みたいにドキドキしている。
どこに行くのかとおとなしくついて行けば、営業部を通り過ぎ、
屋上へと上った。
さすがにこの季節に屋上は寒すぎるのか、誰一人として居ない。
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