極上の恋愛はいかが?
「佐々木部長との話しはよかったのでしょうか?」
「あぁ、大丈夫だよ。大した話しではない」
「でも…」
「大丈夫。嫌いな相手ならわざわざ言い争わない」
「…はい」

すべてを納得したわけではないが、社長がそう言うならそうなんだろうと思うしかなかった。

「高原さんからは、俺と樹はどう見えている?」
「え?」
「素直に言ってみて」
「え、いや…それは…」
「ここには俺しかいない。気にせずに素直に言ってくれたらいいよ」

社長の考えていることがわからないが、何か答えないといけない。
屋上に置いてあるベンチに優雅に座る須郷とは違い、しどろもどろ

「社長と佐々木部長は学生の頃からの腐れ縁と聞いています。ですので、どちらがどうとか言うのはなく…」
「あいつの方が何かと優れてるけどね」
「でも、社長は社長ですし…」
「俺のとこは肩書きに左右されるやつばっかりだけどね」

卑屈になっている社長の解き方をまだ莉央は知らない。

「…それでも…社長のことを尊敬しています!むしろ私みたいな一社員程度がこうしてお話できるのもうれしくて…えーと…うまく言えませんが…とにかく私にとっては無くてはならない存在なんです!」

想いは溢れそうなぐらいあるのに何をどう話したら伝えることができるのか…
どうしたら…

「…ありがとう」

心無しか先程より尖った部分がなく、いつもの優しい表情で莉央を見た。

「あの…その…どう伝えればいいのか私にはわかりませんが、私は社長が好きです!」

思わず言ってしまった言葉に自分でもびっくりするぐらいだが、
きっと社長にはただの社員の戯言と取ってくれるかも知れない。
そう思い込むが、心がチクリとする。
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